チャキ(茶木絃楽器製作所)最後のコントラバス 。
1年前、チャキが廃業したことは、当店が速報として、お伝えしました。
その記事には書きませんでしたが、私はオリエンテの二代目から話を聞きました。
その当時、二代目が “先週、いきなり親父(親方)がな、『チャキから(黒檀の)指板を250本、引き上げてこい。』って言うから、驚いてな。” と言うわけです。
その時、私は一瞬、絶句してから “それって、廃業ってことか?!” と聞き返した記憶があります。
その後、チャキ廃業の片付けを、オリエンテで引き継ぎました。
材木やら木工機械やら、買い取れるものは、全てオリエンテで買い取った、というのです。
その時に、チャキの工房に置かれていたのが、この楽器です。
とはいえ、この楽器は完成されてものではなく、製作途中で置かれていたそうです。
この製作途中の楽器を引き取って、しばらくオリエンテの仕事場に、そのまま手付かずで置いてあった時に、オリエンテの常連さんが、この楽器を見つけて “買い取るから、最後まで仕上げてくれ。” と二代目に依頼をされたそうです。
この色の無い透明な仕上げも、オーナーの意向で。
チャキは廃業する数年前から、問屋や小売店との関係を断ち、完全受注生産でオーナー個人との直接取引に経営の舵(かじ)を切りました。
結果的に、その経営方法が自らの首を絞めるような格好になってしまったわけですが、チャキというコントラバス メーカーが、最後の最後まで誇りを捨てることなくコントラバス製作をしていた、という証のような、そんな楽器かと思います。
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