伝統技術を受け継ぎつつ

​新しい価値観の創成

 私が1995年にヒガシ絃楽器製作所(オリエンテ)で修行を始めてから、2015年に独立するまでの20年間で、コントラバスを取り巻く環境は大きく変化したように思います。

 

 

 一つは演奏スタイル。

 コントラバスの『ソロ演奏』という分野は昔からありましたが、その20年の間にも、急激に技巧的な演奏を追求する傾向が、クラシック界でもジャズ界でも起きてきたように思います。

 

 

 そしてさらに、コントラバスを演奏する環境は、恐ろしく進化し続けています。

 

 クラシックなどで使用するコンサートホールでいえば、残響時間を自由に調節できる残響可変システムが開発されたり、ジャズなどの世界でいえば超高音質なピックアップマイクをはじめとした最新鋭の音響機器など、今では、その昔には想像もつかなかった『高音質』が日常にあり、そして今もなお、進化を続けており、コントラバスもまた、その『高音質』に対応できる楽器が求められています。

 

 

 

 特に現代で要求されるのは、美しく深い高音域ですが、単純に低音域を減衰させることで『なんとなく高音が出ているような状態』という調整をなされた楽器を多く目にすることがあります。

 しかし、そのような楽器は、結果的に楽器本来の持つ音量を減衰させていることになります。

 低音楽器であるコントラバスが低音を犠牲にする本末転倒な調整方法は、もはや、これからの時代には追いついてはいけないと考えています。

 

 

 当店では、低音楽器が出すべき本来の低音を出し、その上で音域を広げられるような楽器の製作・調整を基本としています。

 

 

代表 池田友彦