Schertler(シャトラー)の『STAT-B』というピックアップマイクの取り付けの依頼が、意外とあります。 どうなのでしょう? 人気のあるピックアップなのでしょうか? 当店では販売していませんので、皆様、持ち込みです。 当店は、他店で購入しての持ち込み、特に気にしません。 楽器の調整から、ピックアプの取り付けまで、できることは何でもやらせて頂いています。 ということで、これまで『STAT-B』を幾つも取り付けて、自分でも同じような構造のコンデンサーマイクを作ってみて、『STAT-Bの取り付け方法』について感じたことを紹介します。
ますば『コルクは薄い方が、音抜けが良い』ということ。 これは自作のコンデンサーマイクでも同じ現象が起きました。 『STAT-B』は、弦の振動をコンデンサーマイクで集音するという構造になっていますが、コルクが緩衝材となり、振動がコンデンサーマイクに行くつく前に減衰してしまいます。 特にコルクの部分が厚ければ厚いほど、高音域が弱くなります。
次に『台座が弱いと、出力も弱い(=音量が小さい)』ということです。 『STAT-B』を購入した際に付属されている台座は非常に小さく、貧弱です。 色々と実験してみたところ、しっかりと大きい台座を取り付けた場合、上部のコルクからだけではなく、台座からプラスチックの本体を経由して音を集音することが可能になります。 そのため、『STAT-B』に伝わる振動の量も増え(=音量が大きくなる)、なおかつコルクよりも硬いプラスチックからの集音もあるので、音に輪郭が出ます。 そして、大きな台座をつけることで、しっかりとマイクを固定できるので、振動を確実にマイクへ伝えることが可能になります。
『STAT-B』は、“シャー。”という音の、いわゆるホワイトノイズの多いマイクですが、それは的確な取り付けがなされていないため、上手く集音できず無理に音量を上げてしまうことで、ホワイトノイズが、より多く発生してしまいます。 簡単にいえば、マイクから離れている声を、無理やり増幅するような感じです。 そういう部分は、コルクを薄くして、しっかりと大きい台座を使用すれば、かなり改善されます。
仮に駒を交換して、台座を作り直す場合でも、おそらくオリジナルのコルクを切り取って、新たにコルクを付け足しても問題は無いかと思います。 オリジナルのコルクは、かなり柔らかいので、交換する際に硬めのコルクを使用したり 、マイク本体とコルクの間にカエデの材を挟み込んでみると、音に張りを得られるかもしれません。 まだ、そこまでの依頼を受けたことはありませんが、理論的には間違ってはいない・・・と、思います。
