ORIENTE hb-65
HB-65、こちらは『HO-58』の後継機にあたります。
『HO-58』から、いくつかの変更点はありますが、基本的な仕様は変わっていないので、まず『HO-58』について、解説をさせてください。
私がオリエンテで修行を始めた頃、『HO-58』はオリエンテの主力商品として君臨していました。
『HO-58』はプロアマを問わず多くの人々に愛用されてきた楽器でありますが、その源流には、演奏者たちのコントラバスに対する強い思いがあります。
『HO-58』は、その当時、駆け出しの演奏家であった若者たちと、オリエンテの親方である東澄雄が意見を出し合って作り上げました。
私がオリエンテで働きだした頃には、その〈若者たち〉は関西を代表する演奏家となっていて、私は、その方々からも多くのことを学ばせていただきました。
私が、『HO-58』という楽器が多くの若手演奏家の意見を取り入れて作られたものだということを知ったのは、修行を始めてから、もう10年以上の時を過ぎた頃でしょうか?
いつものように常連のベテラン演奏家と雑談をしていた時に、
“この『HO-58』って楽器はなぁ、俺たちが意見を出してヒガシさん(親方)に作らせたんだよ。まぁ~、お互いに若かったから、いつも喧嘩みたいだったけどね。 だからね、俺は、この『HO-58』って楽器に対しての思い入れってのは、人一倍あるんだよ。”
と、嬉しそうに教えてくださいました。
確かに、製作現場の中にいても『HO-58』という楽器の存在感というか、オリエンテにおいての立ち位置は、ちょっと他の楽器とは雰囲気が違いました。
オリエンテには、もっと高価格帯の楽器は幾つもありますし、そういう意味では、あくまで『中堅』なのですが、それとは別の空気感を持つのが『HO-58』でありました。
その後『HO-58』は、いくつかの改良を繰り返し、新たに『HB-65』としての道を歩み始めました。
『HO-58』の時代から変わらず、オリエンテのコントラバスの中で『HB-65』を境界線に、そのクラスの上下によって塗装の際のニスの種類が変わります。
『HB-55(旧HO-50)』から下のクラスは、教育現場などで扱いやすいように、本体の保護を優先させるために、少し硬めのニスを使用していますが、『HB-65』からはプロも含めた様々な音楽の現場で活躍できるように、楽器の響きを考慮した伝統的なニスを使用しています。
多くの演奏者の強い思いの中で作り上げられ、そして支持され続けた『HO-58』を、さらに時代に合わせて進化させたものが、『HB-65』となります。