ORIENTE Custom

 10年ほど前からでしょうか、オリエンテではカタログに記載されていない特別仕様の一点ものの楽器を不定期に、こっそりと(?)世の中に送り出し続けています。

 それは個人のオーナーからの依頼であったり、小売店からの依頼である場合もありますが、それ以外に、オリエンテ側の意思で『ちょっと気合いを入れて凄い楽器を作ってしまおうか。』というときにも『ORIENTE Custom』が製作されたりもします。

 

 今回のこの楽器は『気合いを入れて凄いのを作っちゃうぞ!』で作られた楽器です。

 

 

 しばらく前に、私がオリエンテの二代目に別件で電話をかけたときに、話のついでに、

“最近、なんか良い楽器ある?”

 と訊いて(きいて)みたところ、“あるよ。じゃぁ、送る。” と二代目から送られてきたのが、この楽器です。

 そう、私は何も詳細を聞かずに送ってもらった・・・ということになります。

 

 送られてきた楽器のラベルを確認すると、『Custom』の表記の横に、親方である東澄雄の印が押されています。

“はて・・・・・・もう親方が楽器を作るのは、難しいはずだが・・・?”

 と、私の頭の中には『?』が飛び回ります。

 翌日、二代目に電話で確認をしてみると、

“それは親父の『仕事復帰記念』に作った特別仕様という意味だ。”

 と、いうことらしいです。 

 

 

 実は、東澄雄は1年程前に癌(がん)を患って、入院・手術をしております。一度は退院をしたものの、また年末に入院を重ねました。

 当時、私も二代目から知らせを受けたときに、かなり気落ちもしましたが、お陰様で無事に退院をし、仕事復帰もできました。

 ただ、さすがにコントラバスを製作する体力までは回復できていないとのことで、現在は楽器の修理・調整を主に仕事として、製作に関しては職人たちに任せつつ、品質に目を光らせている、とのことです。

 

 そのような中で、親方・東澄雄の指示のもと作られたのが、この『ORIENTE Custom』になります。

 

 

 

 細かな仕様は今更述べる必要もないぐらい、『全てにおいて、オリエンテにある最上の材料を使用した楽器』です。

 オリエンテの場合、まず材料を巨大な丸太の状態で仕入れて、ある程度の大きさに製材をして、これまた巨大な倉庫で3年以上自然乾燥させた上で、楽器として使用します。 私がオリエンテでの修行時代には、材木置き場の倉庫が3棟ほどあったかと思います。

 楽器として最適な乾燥具合になるまで使えないわけですから、『材木があるのだから、いつでも楽器は作れる。』というわけでもなく、常に材木を仕入れて乾燥させながらも、確実に乾燥した材木で楽器を製作し安定供給し続けるというのですから、ちょっと簡単に “俺、コントラバス・メーカを立ち上げるわ。” とは言えませんし、今の時代・・・もはや日本国内でコントラバス・メーカー立ち上げることは、不可能に近いのかな・・・とさえ思います。

 

 

 そのコントラバス・メーカーとしての意地の1本。

“これ・・・よその弦楽器専門店で取り扱うとしたら、どう説明をつけるんだ・・・?”

 と思わず苦笑が出てしまったほど、オリエンテの想いの強い楽器ですが、

“東澄雄の弟子の絃バス屋なら、なんの問題も無いだろう。”

 と、オリエンテの二代目から送られてきたのだと思います。

製品情報

​販売価格:1,300,000円(税別)

製造:2018年