ヴァイオリンの起源と言われているのが、イラン(ペルシャ)の伝統楽器のケマンチェ。(一説にはラバーブ)
コントラバスは、いわゆる『ヴァイオリン属』ではなく、その源流は『ヴィオール属』ですが、そのヴィオール族も、そのさらに源流を探ると、結局、ケマンチェあたりに辿り(たどり)着くとか、着かないとか。
ヴァイオリン属の登場が、ざっくり16世紀の初め。
ヴィオール属だと、15世紀の終わり頃だそうな。
そして、ケマンチェなどの擦弦楽器がペルシャで登場したのは、9世紀から10世紀ごろになるらしい。(ご存知の方、これで正解ですか?)
ネット上で公開されている論文を読み込んでみると、現在、確認されている最古の擦弦楽器は、7世紀の中国北部の遊牧民族で使用されていたもので、それを擦弦楽器の起源とする説もあるようです。
で、今回の映像は、アゼルバイジャン(Azerbaidzhan)の演奏家のドイツでのライブ映像(2019年)。
アゼルバイジャンはイランの北方。
地域としては、イランと同じくケマンチェの本拠地(?)でもあります。
この映像、アラブ系の独特な歌い手の節回し(ふしまわし)も魅力的ですし、ケマンチェの音色も魅力的ですが・・・・・・。
(ネタバレ的に書きますが)エレキベースを弾いている演奏家が、ループマシンを使用して、最初に自分の演奏を、その場で録音をして再生をし、ベースのフレーズを鳴らし続けます。
そして、演奏途中で彼が持ち替えた楽器が・・・Serpent(セルパン)。
蛇のような形をした、管楽器で18世紀中頃に登場した管楽器です。
“エレキベース からの持ち替えで・・・それっ?!” と驚くわけですが、静かに静かに音楽は進みます。
この〈伝統〉と〈最先端〉の融合は見事に決まっていて、非常に心地よく響いてきます。
とはいえ、この演奏は厳密にアラブ系の伝統的な音楽に比べると、かなり現代に寄せた味付けになっています。
拍子の取り方というか、間合いが、かなり現代の音楽に近いものを感じます。
ただ、だからこそ現代の多くの人々の心に残る音楽になるのではないか、と感じました。
私は、普段仕事をしていて、コントラバスという楽器も、〈伝統〉と〈最先端〉というものの間で揺れ動いているように感じます。
どこまで伝統的なものを残しつつ、どこまでを現代の〈音楽〉に合わせて音を作り上げていく必要があるのか、日々、オーナーの方々の音楽の現場からの声に耳を傾けています。
※ここでは再生できないようですが、クリックしていただくと、YouTubeで再生されます。