こういうことは、誰かが声をあげないと、無くならないのだろうなぁ・・・という残念な話。
う〜ん、コントラバス業界の悪い部分。
いつも言いますが、何が気に入らないって、楽器を演奏する人には絶対に見えない部分で手抜きをすることが、非常に気に入らない!!
今回は、魂柱。
本来であれば、表板と裏板の内側(楽器内部に仕込むので)の曲面に合わせて鑿(のみ)で正確に削って合わせていくのですが、この魂柱(写真1枚目)は、鋸(のこぎり)で切りっぱなしのままで、取り付けられていました。
写真2枚目は1枚目の拡大、写真3枚目は鑿で削った断面です。
もはや誰であっても想像に難しくないと思いますが・・・はい、絶対にこれでは精度の高い調整は完全に不可能です。
これで楽器が正常に〈鳴る〉ことは、ありえません。
なんで、こういう仕事をするのかな・・・・・・・・・。
以前にも幾つか似たような事例を紹介していますが、百歩譲って、駒足の削りを誤魔化すのは、まだ演奏者の目に触れる機会が無いではない。(弦を外せば見えるから。)
ただ、魂柱の切り口ともなると、演奏者の目に触れることは、本当にありません。
そこが非常に悪質。
これでは演奏者が、いくら良い演奏をしようと努力をし、修練を積み上げてみても、絶対にその楽器本来の『鳴り』を引き出すことは不可能です。
もう、物理的に鳴らない状態で調整をされているのですから。
これじゃぁ、コントラバスの文化が発展することは有り得ない。
これじゃぁ、“コントラバス職人が日本の音楽文化の足を引っ張ってきた!” と言われても、文句も言えない。
いい加減、この手抜きの調整の文化は捨て去らなければ、いつか、わりと近い段階でコントラバス職人が、コントラバス奏者からの信頼を失ってしまう日が来ると思います。
これは間違いなくコントラバス業界の気の緩み(ゆるみ)が原因で、あくまで責任は職人側にあるわけですが、非常に申し訳なく思いますが、このような調整に巡り合わないためには、いつもいつも申し上げますように、楽器のオーナーの方々が、よくよく自らの楽器を預ける職人とコミュニケーションを取ることだと思います。
残念ながら、それ以外には対策の取りようが無いのかな・・・というのが本音です。
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