機械の整備をする。
こちらは、『プレーナー』という材木を削って薄くする機械と、『手押し鉋(かんな)』という、いわゆる大工道具の鉋を機械にしたもの。その複合機。
私は若い頃から、このような木工工作機械の整備は、厳しく指導されてきました。
親方から指導を受けるのではなく、親方がChakiでの修行時代から付き合いのある木工機械屋さんが、私に指導をしてくださいました。
“機械を使うだけなら、半人前。 自分で整備できて、初めて一人前。”
機械屋さんは、そんなことを、いつも言っていました。
確かに、時に近年は、さまざまな木工機械が誰にでも気軽に購入できる時代になりました。
ただ、その購入したものを分解して整備までできなければ、非常に危険です。
Orienteでは、親方が独立をしたときに中古で購入した機械などが多かったので、私が使用している時点で、すでに数十年前に製造された機械などが並んでいました。
だから、機械製造メーカーが廃業している場合も多く、汎用品の部品を調達してきたり、専門業者に部品を製作してもらったり、時には自分たちで汎用部品を加工して作ったりもしていました。
機械の調子の悪い時などは、一日中、機械油にまみれて修理ををする。
“なぁ…自分達って…機械修理屋だっけ?”
と二代目と苦笑していました。
今回は、刃の交換と全体の整備です。
このような機械の刃は使い捨てではなく、専門業者に刃の研ぎを依頼します。
手押し鉋の方で半年に一度、プレーナーの方で一年に一度、刃の交換を行なっています。
当店の使用頻度ですと、大規模な分解整備は一年に一度で充分です。
もう25年以上前のことでしょうか。
ある時、Orienteの二代目が落ち込んでいました。
“このあいだ、お前らは機械を使って楽器を作っているからダメだ。ってバイオリン人職人に言われた…。 そんな、材木を切るのに手で切るのと、機械できるので音色が変わると思うか?”
彼は、そんなことを言っていました。
たまに申し上げますが、昔からコントラバス職人は差別を受けてきたわけで、機械の整備をしながら、ふと、あの時の二代目の落ち込んだ表情を思い出すことがあります。
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