指板を、研ぎ上げる。

 私がオリエンテで修行をしていた頃、オリエンテの二代目は指板を調整する技術について話をしていると、意識的にか無意識にか、3つの言葉を使い分けてしました。

 一つは『指板を削る』、もう一つは『指板を磨く』、そして『指板を研ぐ』と。



 オリエンテは指板も自前で原木から削り出していますから、オリエンテの職人にとっては、指板を『削る』という技術と『磨く』という技術は、特に難しい作業ではありませんし、(オリエンテに限らず)一般的には『磨く』という作業工程で完了させます。

 二代目は、そこから更に高精度の指板を作り上げるために『研ぐ』という行程を加えます。

 (オリエンテの特別仕様の楽器などで使われる技術なので、あまり一般には認識されていないかと思います。)



 『指板を研ぐ』という作業は、黒檀(こくたん)又はエボニーといわれる硬い材木を磨きに磨いて、最終的に、磨きの作業だけで鏡面仕上げにまで磨き上げます。

 この時に、指板の削り方や磨き方に問題があると、鏡面仕上げに写り込むものが歪みます。

 完璧に磨き上げることができれば、写真のように、指板の中に綺麗に写りこませることができます。



 以前、『弦高は、どこまで下げられるのか?』という記事を書きましたが、弦高を限界値まで下げるには、この技術が不可欠です。 




 指板を研ぎ上げると、単に弦高が下げられるというだけではなく、指板に歪みが少ないほど、楽器の音がスッキリするような気がしますが・・・これはまだ研究中なので明言できませんが、およそ的外れな話ではない気がします。