差別のある世界

 書き出してみたら、少し愚痴っぽい話になりそうですが・・・まぁ、通常運転ですね。       どこかの記事に、ほんの少し触れましたが、先日、とある地方自治体の役所の方が来店されました。

 それは、とある地域に2027年、リニア新幹線の開通するときに駅ができる、と。  その近隣の自治体が『楽器職人を集めて音楽文化の町を作る。』と大旗を振って、職人たちの誘致に乗り出した、と。    そこで、当店に挨拶と誘致と取材(相談)に、ご来店されたそうです。      その役所の方から話を聞いてみると、 “とあるバイオリン職人のところに行きましたら、『コントラバスなんて大工のようなものだから、広い土地があれば、それで誘致できるんじゃないの?』と(いう雰囲気で)言われたので、絃バス屋さんに来ました。”  というようなことを、ニコニコと嬉しそうに話されるわけです。    私、そこでちょっと、今風に言うと、イラッとくるわけです。“大工を舐めんなよ。”と。      そこで話は続きます。 “コントラバスはバイオリンと違って非常に大きいから、そんなに繊細さは必要無いんですよね?(そのバイオリン職人・談)”  ・・・と、引き続きニコニコと嬉しそうに話されるわけです。      おそらく、その瞬間に私はブチ切れて激怒しても許される範囲だと感じたわけですが “そこで怒ってみても・・・な。” と瞬時に思い直し、私は応えます。    “オーケストラの管楽器、木管にしても金管にしても、あれは精密機械なようなものです。 バイオリンも非常に繊細に作られています。 そのような中でコントラバスが大味な適当な作りの楽器であったとして、〈音楽〉として成立すると思われますか?”    これ、真実です。  コントラバスだけが大味で、雑であって良いはずもなく、そもそも、そんなことは有り得ないわけですね。  そんな状況ではオーケストラが〈音楽〉として成立しないのですから。    お役所の方、非常に納得していただけました。          この話の流れを読んでいただいて、私が一番気分を害したのは、バイオリン職人がコントラバス職人を『大工のようなもの』と、大工を低く見たところ。  これ実際に昔からよく言われるのです。 “コントラバス職人なんて、家具屋と同じだ。”とか。  私は、“家具屋を舐めんなよ!”とも思うわけです。    大工、ほんと凄いですよ。  当店の開業の際には、友人の大工に依頼しましたが、この店の広さを測って、“ん。これで、行けんじゃね?” と、パッと材料を用意して、図面も描かずに一気に作り上げました、この店。    私も何かを手伝おうかと思いましたが、あまりの手際の早さに、結局、ほとんど隣で見ているだけでしたから。    そんな厳しい修行を積み上げてきて今を生きる大工を蔑む(さげすむ)わけですね。  コントラバス職人と一緒にして良いはずも無い!      なんだろう・・・“それでいいのか? 弦楽器業界。” と思うわけですね。        当然、それは極々一部の心ない人々だと理解はしていますが・・・・・・そんな蔑みや差別的な表現や言動が、いまだに使われていて、実際に、耳に入ってくるという。  これじゃぁ、日本における弦楽器文化の根が深く広く、広がるはずもない。     先日の『弦バス』という呼び方に対しての蔑みも、それは極々一部の心ない人々だと理解はしていますが・・・・・・そんなことを言っていては、日本における弦楽器文化の根が深く広く、広がるはずもない。      そのあたり、職人も演奏者も、いい加減もう、声を掛け合って、意識を変えて行かないと、色々な意味でダメになってしまうし、もう瓦解(がかい)ギリギリのところまで来てしまっているように思うのです。        私は、音楽というものは、もっと寛容であって良いと思います。  どこかに優劣を見つけて、相手を蔑んで良いはずもない。      先日の記事も含めて、職人の悪意ある手抜き行為は、演奏者を低くみて蔑んでいるからこその行為であって、それも絶対にあってはならないことだと強く思います。        ただ、ここは強調すべきことだと思いますが、それは心のすれ違いから起きるものであって、結局、いつもいつも申し上げますように他者とのコミュニケーション不足から起きる問題のように思います。      職人と演奏者、演奏する音楽のジャンルが違うなど、それぞれに置かれた立場は違いますし、なかなか自分の立っている世界以外は見えない部分も多いです。    特にコントラバスという楽器は、想像以上に、様々な音楽で使用されていて、その音楽の世界観は、多くの楽器の中でも、非常に『とんでもなく広い世界観を持った特殊な楽器』であることは間違いありません。    当店にも、様々な音楽のジャンルを演奏する方々がご来店いただきますし、このFacebook上でも、様々な音楽と関わっている方々にご愛好いただいていることも存じ上げています。    だからこそ、この絃バス屋のFacebookは、職人も演奏者もジャンルも関係なく等しく、同じ目線で交流ができることを目指しておりますし、強く望んでおります。        今更ですが、みんなで楽しく盛り上がっていければ幸いです。

 

 

※この記事はFacebookからの転載です。