初めて反抗した日

 当店は基本的に〈楽器販売店〉ではないので、普段から新入荷情報などをアップすることはないのですが、ことオリエンテのコントラバスに関しては、私がオリエンテで20年ほど修行させていただいたという関係もあり、多くの方から信頼をいただいて、販売をさせていただいております。    先日、オリエンテのミニコントラバスを納品させていただきました。      私は、この楽器の試作段階から関わらせていただきました。  その一連の経緯の中で、専用ケースを新しいデザインにするという時に、私はオリエンテで修行を始めてから、初めて親方に反抗をしたという、なんとも思い出深い記憶が、このケースにはあります。  楽器のケースのポケットに『Oriente』というロゴを入れるのか・入れないのかで、初めて親方と対決(?)をします。  私は “ロゴを入れるべき!” と主張し、親方は “そんなもん、単価が上がるだけで、無意味なことだ!” と主張します。

 その時、私はオリエンテで修行を始めて15年ぐらいだったと思います。  それまで、一度も親方に反抗したことはありません。  反抗どころか、『親方に意見をする』などということは、絶対に不可能でした。  でもなぜか、その時は “ここに、オリエンテのロゴを入れるべきだ!” と思ったわけで・・・親方に反抗したわけです。  私としては、自分が在籍している『オリエンテ』というコントラバス・メーカーに誇りを持っていましたし、やはり楽器ケースに『Fender』とか『Gibson』なんてロゴが入っていると、オーナーとしても嬉しい。  それだけに『ロゴは必要だ。』と思ったのです。    これがまた、お誂え(おあつらえ)向きに、現在のロゴの入っている場所は、初めから、このように光沢のある人工皮革(?)が使用されることは決まっていましたので、 “絶対に、ここにロゴを入れるべきです!”  と、私は強硬に主張し続けたわけです。  あの時は、さすがに親方も二代目も驚いていました。  本当に、反抗などしたこと無かったのですから。  最終的に、新しいケースを製作するために試作品を持ってきていた、ケース製造会社のスタッフが、 “僕も、ここにロゴがあった方が格好いいと思います。”  と援護してくださったので、現在のデザインで決定しました。        あれから10年近くが経ちましたが、こうやって新しく納品される時に、専用ケースにロゴが印されているというのは、やはり良いですね。 “あの時、頑張って反抗しただけの価値があったな。”  と、今でも、このケースを見るたびに思います。