ロックやロカビリーの調整方法

 ここ最近、ロックやロカビリーを演奏するオーナーのご来店も増えてきました。  ロックやロカビリーでは『スラップ』という独特な奏法がありますが、その奏法に対応した調整方法を・・・と模索してきましたが、最終的に行き着いた先は『クラシックやジャズに対する調整方法と基本的には変わらない』ということでした。    “スラップをした時の弾けた(はじけた)音の中に、ちゃんと楽器の響きがなければ意味がない! そんな音が欲しい!” と本職のロカビリーのオーナーから依頼受けたときに、『スラップ』というものについて、色々と教えていただきました。 私、全くスラップ奏法はできないので。

   スラップをした時に、弦を弾いて(はじいて)『バチッ!!』と指板に打ち当てると同時に、楽器本体を響かせる。  これを実現させるには、とにかく楽器自体が反応が良く、弦を揺らしてから音が出るまでの時間(タイムラグ)を短くする必要があります。  それと、本来、コントラバスというものは、弦は指板に対して横に振動することで音が出る構造の楽器に対して、スラップ奏法は指板に打ち当てる〈縦方向〉に弦が振動するわけですから、そもそも、弦の駒を通して楽器本体へ伝わる振動の量は少ないわけで、そのような条件の中で、楽器を響かせる必要が出てきます。  ただ、ロックやロカビリーは大音量で演奏することが多いので、あまり楽器を響かせるとハウリングを起こす原因になってしまうので、そう考えると、縦振動に対して無理に楽器を響かせる必要はなく、『普通に弾いた時に良い響きが得られる』という調整が実際のところ、スラップ奏法でも丁度いい落とし所のようです。      ロックやロカビリーで使用する楽器の調整で最も難しい部分は、前述しました通り『爆音で演奏してもハウリングしにくい』という状態に作り上げることでしょうか。  一つは、『楽器を響かせ過ぎないこと』です。  ハウリングの原理は〈共振〉ですので、楽器の響きが弱ければ、ハウリングに強い楽器になります。  ただ、単純に〈鳴りの弱い楽器〉に仕上げれば良いのではなく、オーナーの使用される機材を詳しく教えていただき、その機材の癖(音質)に合わせた調整をすることで『必要最低限の低音』を維持しつつ、楽器本体の方でハウリングしやすい音域は抜いてしまうことで、バランスの良い低音がライブ会場に響き渡るようになります。    もう一つは、通常のコントラバスよりも、少しだけ〈響き〉よりも〈音の芯〉が明確になるように楽器を調整することで、楽器の音が引き締まって、いわゆる『タイトなサウンド』を楽器自身に持たせます。  音が明確なので、必要以上に音量を上げる必要も無いですし、音抜けが良いので、エフェクターなどを使用しても音の輪郭が壊れにくいかと思います。  最も、その〈必要〉が爆音であれば、その楽器を爆音に対応できるように調整させていただきますが・・・・・・。        最終的には、オーナーの意向と使用される機材、それと楽器自身の性格などを考慮して、じっくりオーナーと話し合って音を決めていく必要があるわけで、結局、そのほかのジャンルで使用される楽器と何も変わらず、いつも通りということですね。