ピックアップの併用

コントラバスのピックアップマイクを複数取り付けるということは、珍しいことではありません。  しかし、この〈ピックアップの併用〉というのは、意外と楽器の調整が難しいのです。    今回は、そんな話題です。    初めに、写真を確認してください。  今回は、ピックアップの種類によって、調整作業で意図的に、どの方向に振動を流していくかを記してみました。   1. 黒色・通常の駒の上の振動の流れ 2. 赤色・Wilson K1 3. 青色・山彦(YAMAHIKO) 4. 緑色・REALIST 5. 紫色・Underwood 6. 灰色・Schertler STAT-B     【1. 黒色】  こちらは各弦の振動の通り道です。  大動脈というか、幹線道路というか、この黒い線が各弦の一番振動を多く通るラインです。    まずは、基本的な駒の調整を完成させます。  『基本=各弦の音量と音質が揃えられた状態である』と考えてください。    Wilson K4 などは、弦に近い場所に設置をするので、駒の調整が完成すれば、そのまま使用することができます。


    【2. 赤色】  Wilson K1 を使用する際には、少しG線(1弦)からの振動量を多めに送り込むと、全体のサウンドのバランスが整います。



  【3. 青色】  山彦(YAMAHIKO)を使用した際に、G線(1弦)の音色が硬く感じたり、音量が少ないと感じる場合には、G線(1弦)のピックアップマイクにA線(3弦)・E線(4弦)の音を引き込んで集音をさせると、G線(1弦)の音量感が増し、柔らかい響きも得られます。


    【4. 緑色】  REALISTは非常に低音成分が多いので、音程感のない不要な低音を除去します。  その上で、G線(1弦)側の脚から多くの振動を表板へ流し込むことで、表板を通してピックアップに集音させます。  それにより、中音域から中高音域が多く集音されることで、音に輪郭を得ることができます。


    【5. 紫色】  Underwoodは、駒の隙間に挟み込んで使用します。  これは同じような取り付け方法のピックアップマイクも同様の調整方法で対応できます。    このような取り付け方法の駒は、駒の上部からの振動を多く集音しますが、そのままでは不要な高音域も多く集音することになり、硬質なサウンドになりがちです。    それを駒の脚の側から多く集音するように調整をすると、低音域から高音域まで、バランス良く集音することが可能になります。


      【6. 灰色】  Schertler STAT-Bは、G線(1弦)側の駒の円形の穴に取り付けます。  STAT-Bは、取り付ける位置の関係上、G線(1弦)の振動を多く集音します。  そのため、意図的にA線(3弦)・E線(4弦)の音を引き込んで集音をさせるような調整が必要です。


     このように、ピックアップマイクの種類によって、駒の上の振動の経路を整え、流し込む振動量を変化させなければ、どんなに高性能のピックアップシステムであっても、良い音を集音することは難しいと思います。      その上で、複数のピックアップマイクを併用する場合は、振動の経路が混線しないように調整する必要があります。      そう考えた場合【3. 青色・山彦(YAMAHIKO)】と【4. 緑色・REALIST】を組み合わせて使用されている楽器を見ることがありますが、これは振動の経路を考えると、混線もないので合理的だと言えます。    逆に【2. 赤色・Wilson K1】と【4. 緑色・REALIST】の組み合わせは、サウンドの調整は難しいかもしれません。      なかなか興味深いですね。