ネックが取り外せて、コンパクトに収納できるコントラバスを、ORIENTE(オリエンテ)が作ったらしい。 https://www.bassland.tokyo/entry/2020/10/10/185256 もう10年以上前ですが、まだ私がオリエンテで修行をしていた頃にも『ネックを取り外せるコントラバス』の研究開発をしたことがあります。 その研究には私も関わらせていただきましたが、結局、製作コストと強度的な問題のバランスが取れずに、研究開発を断念しました。 実は、その開発断念の後すぐに、オリエンテのMBシリーズ『ミニ コントラバス』の開発が始まり、私もミニコントラバスの設計に関わりました。 思えば、あの頃は色々と変わったものに手を出していたように思います。 さて今回のネックの取り外し可能なコントラバスは、現状では『販売直前の試作品』といった立ち位置のようです。 細かい部品の精度であったり、専用収納ケースの問題であったり、まだまだ幾つかの問題を解決する必要はありそうです。 個人的な感想としては、あまり一般向けの楽器とは言えないかと思います。 この楽器は演奏者自身が自分で組み立てるのですから、駒の位置は当然として、魂柱(Sound post)が倒れた場合も、演奏者自身が自分で魂柱を立てる必要があるわけです。 そのあたり、演奏者にも『技術』が求められる楽器です。 今のところ、当店で扱う予定はありません。 理由は幾つかありますが…。 昨年、オリエンテの二代目と話をしていたときに“ネックが取り外せるコントラバスって、どう思う?”と質問を受けたことを思い出しました。 おそらく、その時に、今回の楽器の構想を考えていたのでしょう。 その時、私はどちらかと言えば否定的な見解を答えました。 コントラバスという楽器は、ほんの一瞬でも駒を取り外してしまうと、音の響きが鈍くなります。 そこから響きが復活するまでに、だいたい30分程度の時間が必要です。 それぐらい神経質な楽器なのに、日常的に取って付けてを繰り返していたら、楽器の音色が落ち着くことがないから、音楽的に考えると、あまり現実的ではない。 私は、そのような返答をした記憶があります。
今回、この楽器に関しては、オリエンテとの協力関係の強い、若いコントラバス職人(東京都葛飾区)に任せることにしました。 以前、当店のFacebookでも紹介しましたが、春先に東京都葛飾区で開業しました。 直接、オリエンテで修行していた職人ではなく、オリエンテと取引のあった弦楽器店から独立した職人なので、技術を共有した直系の兄弟弟子(きょうだいでし)ではありません。 しかし、オリエンテの親方と二代目が、これからの時代の若いコントラバス職人を支えていこうと応援しています。 BassLandの彼は、開業前に、私の店にも挨拶に来てくれました。 ちなみに私の場合は『最初の1年間は、オリエンテの支援は受けないで頑張る。』と、意図的にオリエンテとは距離を置いて、連絡をしませんでした。 そして開業1年後にオリエンテとの取引開始をお願いしたときに、親方から思いっきり叱られました…。 確認をしたところ、技術的にはオリエンテの『HB』や『MB』を始めとした、全ての楽器に対応できるようです。 ケースに関しても対応は可能なようですが、今のところ、まだ楽器本体も量産をして安定供給できる体制では無いようなので、(販売店に)問い合わせをして欲しいとのことでした。 というわけで、今回の『ネックの取り外せるコントラバス』については、BassLand の方にお問い合わせください。
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