先日の弦楽器フェアにて、二代目と話をしていた時に見せてもらった写真たち。
オリエンテというメーカーは、けっこう色々と、オーナーの意向に合わせた特注品を製作しているのですが、そのほとんどは公開されることなく出荷されたり、オーナーに手渡しで納品されていきます。 その『公開されない』ということに意味があるのではなく、単に二代目が “だって、HPの更新とか、面倒くさいんだもん。” と(昔から)言うもので・・・。
というわけで・・・私の方から紹介させていただきます。
こちらは、『HO-30』をもとに作られたカスタム仕様。
“ん? 現行品は『HO-30』ではなく『HB-35』では?” と思われた方は、正解です。
これは、数年前に作られた楽器の写真です。
私も弦楽器フェアの時に、二代目から写真を見せられて “なぁ〜んか、見た記憶がある。” と思ったのですが、それも当然で、ボディの製作は私が担当をして、塗装は二代目が担当しています。
これは、いわゆる『シースルー・ブルー(透き通った青)』という塗装方法で、色を木目の見えない、いわゆる〈ベタ塗り〉をするのではなく、木目が見えるような塗装で、高度な塗装技術が必要です。
エレキギターや家具でも、この塗装方法はありますが、その技法をコントラバスで発揮できるのは、日本国内でも二代目だけでしょうし、世界的に見ても、かなり高いレベルの塗装技術かと思います。
確かに思い返してみれば、その当時、塗装の前段階で、二代目がラジコン(レーシングカー)のボディに色を付けて “なぁ〜。この色合いで良いと思う?” と、私のところに、発色の確認に持ってきた記憶があります。
二代目は『本番前にラジコンで試し塗りをして色を決める。』というのは、いつものことでした。
まぁ、味気の無い端材に試し塗りをするよりも、ラジコンのボディの方が楽しいですからね。
『木材とプラスティックでは、色味が変わるのでは?』と思われるかもしれませんが、そういう問題は、慣れてしまえば関係ないのです。
ちなみに、背景にある材木は、楽器の表板に使用されるスプルースという材です。
これで 2.5m ほどの長さですが、別棟の材木置き場で乾燥させる際には、5m を超える長さの材木のままで乾燥をさせます。
写真の背景の材は、材木置き場から運び出されて、約半分の長さに切られて、そこから数ヶ月間、乾燥させている段階の材木、ということになります。
ここで、最終的に、楽器を製作するのに適切な乾燥度合いになったと判断されると、製材をされて楽器になっていくのです。
あ。 この楽器を製作していて、塗装作業の時に、青色の染料を使って色を付けて、そこから一度、研磨をして余分な染料を落とすという作業があるのですが・・・磨き落とした青い染料にまみれて、全身が真っ青になった記憶を、この記事を書きながら思い出しました。