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インターネット通信販売

ネット通販で楽器を買う、ということについて考えてみる。


 というほど、難しいネタではないですけれど。

 当店に、いつも転がっている、この壺、飾りではなく、打楽器です。



 アメリカの『LP』というラテン打楽器の専門メーカーのものですが、元々はアフリカが起源の楽器です。

 楽器の名前は『Udu・うどぅ』と言います。


 私、仕事はコントラバス(=高校での吹奏楽の時)ですが、趣味は打楽器(=中学での吹奏楽の時)です。





 これを購入したのは、もう25年以上前(京都での修行時代)ですが、この楽器はカタログを見て、そのカタログを楽器店へ持っていって、写真を指差して『これ、ください。』と言いました。


 今回、当時のカタログの写真も載せましたが、もうカタログ自体が英語ですし、その当時はインターネットのHPなどというものも、ましてやYouTubeなんてサイトも存在しませんから、この楽器の使い方など全く知らなければ、京都のような地方の楽器店に在庫があるわけもなく、当然『お取り寄せ』になります。




 今でこそ、不思議な楽器を見つければ、ネットで検索をして、その楽器の詳細を知ることができますし、YouTubeで、その楽器の演奏動画も確認できます。

 ほら、Udu の演奏動画もあります。




 25年ほど前は、打楽器奏者はカタログや楽器屋の店頭で不思議な楽器を見つけた時、『とりあえず買ってみて、使い方は買ってから考える。』ということが、よくありました。

 もう・・・店で質問してみても、店員でさえ『なぜ仕入れたのか、実際のところ、よくわからん。』ということが多々ありました。




 そういう意味では、ネット通販で楽器を購入することと、さほど変わりませんし、むしろ昔の方が博打の要素が強かったように思います。

 ・・・実際に『購入して、使い方が解ったのが数年後。』なんてことも、ありましたし。





 コントラバスの世界でも、特に近年はネットオークションで購入されて、(当店に限らず)コントラバス専門店へ持ち込まれることが増えているようです。


 ただ・・・構造が単純で、それこそ写真を見れば状態が把握できる打楽器とは違い、コントラバスという楽器は、実際に手にしてみないと状態の詳細が掴めない(つかめない)というリスクがあります。



 だから、当店でも事例はありますが、低価格で落札して、調整に持ち込んでみたら、思わぬ問題が発覚して、結果的に修理価格が購入価格の数倍になってしまった・・・ということも、あるわけです。


 どこの店でも同じかとは思いますが、ネットで購入した楽器だから修理代を高額に設定しているわけではなく、実際に修理には『それぐらいの見積もりになってしまう』わけで、オーナーから “せっかく安く落札したのに・・・。” と渋い顔をされても、困ってしまいます。


 気持ちは痛いほど理解できますが。




 私は、ネットオークションで楽器を購入することを否定はしませんが、やはり、あとで大きな出費があるかもしれない、という覚悟は必要かと思います。


 戦前の古い扇風機だって、直せると思って動かない扇風機を手に入れたら、本当に直らない・・・ということは、あるのです。




 そして、新品の楽器をネットで購入する、ということも、その場合も、同じようなリスクを覚悟する必要があるかと思います。


 楽器の調整の有無というものは、実店舗でも、口先ばかりで未調整に近い状態でオーナーに納品するような店もあるので、(ネット通販に対して)それ(=楽器の調整不足)自体を、あれこれ言う筋合いは無いかと思いますが、ただ手元に届いたときに『指板の調子が悪い』とか『変なノイズが発生する』などというトラブルに対して、迅速に対応してもらうことが難しい、というリスクは考えておく必要はあるかと思います。






 ただ実際問題として、日本全国、住んでいる近隣にコントラバスの取り扱いのある楽器店があって、いつでも調整・修理が可能な環境にある地域の方が少ないのですから、理想論ばかりを言ってみても、あまり現実味はありません。




 対応策としては、やはり時間と手間(&費用)は掛かってしまっても、一度は購入先に足を運んで、自分の目で楽器を選ぶ、ということは必要なのかな、と思います。


 ネットで好評の店が、必ずしも最善・最良では無いということは、楽器に限らず、もはや常識かと思います。





 なかなか悩ましい部分でもありますが、購入の際には、よくよく検討してみてください。

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