アジャスター

駒に取り付けるアジャスターの、お話。    かくいう私も、実は、あまり詳しくはないのですが。  う〜ん、色々と種類がありすぎて、把握しきれていないというのが、本音です。  でも本日は、ざっくりと『アジャスター』のお話。          “アジャスターを取り付けると、音が悪くなりますか?”  と、当店でも多く受ける質問ですが、実際のところ、少し返答が難しいかな、と思います。    それは『音が悪くなる?』というところがポイントであって、それを『音は鈍くなりますか?』と問われれば、“物理的な現象として、鈍くなります。” と、お答えするかと思います。      ただ、感覚的な部分の『音が悪くなる』という懸念は、楽器を調整する際に、全体の音色のバランスを整えながら作業していくので、最終的には、あまり気にならないところまで仕上げるように、私としては注意しています。          当店では、基本的に真鍮製(しんちゅう製)をお薦めしています。  オーナーには、取り付ける前に、実際に真鍮のアジャスターを手にとって重さを感じていただくことがあります。  実際のところ、結構な重量を感じます。    他の材質としては、当店ではチタン製も用意できますし、世の中にはアルミ製などもあります。    ただ・・・軽量の金属は、どうも楽器の音色に金属臭が混じってしまうようで、それこそ、過去に話題にした『GALLIEN-KRUEGER 200MB』のキャビネットの共振と似たような現象が起きているようで、このアジャスターから出る金属臭を調整で消すことは非常に難しいです。      そう考えたときに、逆に重量があって、そもそも柔らかい金属の真鍮のアジャスターは、その〈重さ〉から来る低音の鳴りを活かす調整をすると、特に違和感なく、音の響きを作り上げることができます。      結局のところ、いつもよく申し上げます通り、アジャスターの材質よりも、アジャスターを取り付けて、楽器を調整する職人の腕次第のような気がします。          で、今回、なぜアジャスターのネタを取り上げたかというと、写真の通りですが・・・。


 駒にアジャスターを取り付けた際に、取り付け方に歪みがあると、写真のように、楽器から弦を取り外したときに、駒の足が浮き上がります。  本来は、写真2枚目のように、アジャスターを取り付けても、ちゃんと両足が表板に付いている状態でないと、色々と問題があります。


   1枚目の写真は軸棒が斜めに取り付けられているのですから、弦を張った時に、駒に変な方向に負荷(圧力)がかかり、駒が壊れるという可能性は低いとしても、弦の振動を安定して表板に伝えることは不可能です。  それに、駒の足の裏も、足裏全面に圧力が掛かるのではなく、ある一定の場所に集中して圧力が掛かってしまうので、長期で考えた場合に、表板が凹んでしまうリスクも大きくなってしまいます。  この写真の楽器にも、そのような症状が出ています。      

   このような事例を考えた場合、『アジャスターを取り付けたら、音が悪くなった。』という場合、本当に『アジャスターという部品(材質)に問題があったのか?』『取り付けた職人の技術に問題があったのか?』というのは・・・・・・その楽器を演奏するオーナーでは知り得ない情報なわけで、結局のところ、いつも申し上げますように、“日頃から、よくよく弦楽器職人とのコミュニケーションを、とりましょう。” ということに、なるわけです。  

       もう一度申し上げますが、アジャスターを取り付けて音が悪くなる・悪くならないというのは、職人の腕次第のような気がします。